カナダのカレッジに通って保育士を目指しているSachikoです。今日はカナダの保育カレッジの授業で学んだ子どもの発達とその環境についてのお話です。毎日成長している子どもたちがどのような発達段階のステップを踏んでいくのか知っておくことも保育士に求められる知識ですよね。カレッジの授業ではどんなことを学んでいるの?という方や、今後カナダで保育士を目指す方の参考になればと思います。 Early Childhood Education basicコースの科目のChild Developmentにあたります。
子どもたちはユニークで一人一人成長の仕方は違いますが、その発達の過程について研究した心理学者の人たちがいます。私たちが子どもを保育する場合もこの研究された理論などが参考にされています。代表者でいうとピアジェやヴィゴスキーという方たちがよく授業にもでてきます。今日はその中でもユリー・ブロンフェンブレンナー というアメリカの心理学者が提唱したEcological systems theory(生態学的システム理論)について紹介していきます。 Ecological systems theory では、子どもは周囲の環境の複数のレベルによって影響を受ける複雑な関係のシステムの中で成長していると見なされています。子どもの発達は純粋に生物学的なものでその過程や環境は関係ないと言われていたため、それと相反するこの理論は心理学者やその他の人々が、人間とその環境にアプローチする方法に広く影響を与えました。それではそのEcological systems theoryとは何か実際にみていきましょう。
Ecological system theory(生態学的システム理論)とは?
子どもたちは下記の5段階レベルのシステムがそれぞれに関わって発達していくといわれています。
The Microsystemは、子どもたちを取り囲むシステムの層の一番内側、子どもたちの一番身近な存在となります。家庭、近所、保育園や学校などの環境がこれにあたります。子どもたちはそれぞれの性格を持っていますが、身近にいる大人または友達の行動・振る舞いに大きな影響を受けます。
The MesosystemはThe Microsystemで述べた家庭、近所、保育園や学校同士間のつながりです。例えば子どもの家庭での様子を保育園と共有することで子どもの教育課程で混乱を防いだり、子どもが学校で習ったことを家族がサポートできればさらにその学術能力が伸ばすことができます。
The Exosystemは子どもは直接含まれていませんが、子どもの経験に大きな影響を与える社会的な環境です。例えば、親の職場、一緒に住んでいない親戚、地域の保健センターなどがこれにあたります。例えば親の仕事がフレキシブルに働く時間が対応できたり、産休育休の制度があるなどがあげられます。また親が子どもの子育てについてアドバイスをもらえたり、財政的支援を受けることができるかなども、子どもたちに影響を与えます。
The Macrosystemは文化的な価値観や慣習、法律などの子どもたちを取り囲む環境です。例えば食べ方一つをとっても国によって箸で食べたり、フォークとナイフで食べたり、手で食べたり正しいマナーが変わりますよね。育つ国によって法律や教育方針も異なります。
An Ever-changing Systemとは子どもたちを取り囲む環境・システムは常に変化していることを表します。兄弟が生まれたり、学校に入学したり、新しい地域に引っ越しをしたり、はたまた両親の離婚やいじめなどさまざまな関係性が子どもたちの発達に影響を与えます。
この理論を唱えたプロフェンブレンナーは特に貧困が与える子どもの発達への悪影響も説いています。そのため、貧しい環境の子どもたちにも良い教育、支援のサポートなど社会福祉支援に取り組みました。日本でも核家族化がすすみ、都市ではなかなか近所同士での交流もないと思います。親や家族が困ったときにお互いに助け合える、地域や国がサポートできることで子どもがよりよく発達できるのだなと改めて思いました。そのサイクルの一つに保育園もあり、保育士の仕事の重要性も感じました。
他にもEarly Childhood Education basic コースでは様々なことを学ぶことができます。現役学生としてどんなことを学んでいるのかこれからも発信していきたいと思います。