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【保育カレッジ授業】親と子どもの絆、愛着について

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最終更新日:

現在カナダで保育士になるため、カレッジに通っています、現役学生のSachikoです。今日はカナダのカレッジで学んだ“親と子どもの絆、愛着”についてのお話です。
Early Childhood Education basicコースの科目 Child Growth and Developmentにあたります。

乳児を保育園に預けても愛着は形成されるのか?

愛着とは子どもが特定の他者に対して持つ情愛的な絆のことを指します。
突然ですが、女性の読者の方に質問です。「あなたは結婚後も働き続けたいですか?」これは私が日本にいたとき友達との会話でよく出てきた言葉です。私が以前日本で働いていた会社は社員20名ほどの小さな会社だったこともあり、出産後も働き続けている女性社員がいませんでした。私も子どもができたらこの勤務体制では他のスタッフにも迷惑をかけてしまうし、続けるのは難しいかなとどこかで思っていました。でもカナダに来て学校の先生(男性)にこの話をしたらとても驚かれました。カナダではその質問自体が異常で、女性は働き続ける選択する人が多く、それだけ働き続けやすい環境が整っているともいえます。家事も育児も夫婦で分担している印象をもちます。保育園でもお父さんが送り迎えをしている光景も当たり前にみます。日本でも今は共働きの家庭も増えていますよね。日本で働き続ける女性にとってまだまだ家事や育児の負担が大きいのは実情だと思います。一度離職してしまうと再就職もなかなか難しいという話をききます。その力になれるのが私たち保育士だと思います。ただ、出産後すぐの1歳未満の子どもを保育園に預けることはよくないのではないか?子どもと関われる時間が減ってしまっても子どもとの愛着が形成できず、子どもの成長に影響があるのではないか?と不安もあると思うので詳しくみていきたいと思います。

愛着の発達について

心理学者John Bowdlyの研究によると、子どもは生後6週間ごろから約6~8か月ごろにかけて、自分のお世話をしてくれる身近な大人に信頼を抱きはじめます。例えばお母さんが子どもを抱くと、他の人がやるのと比べてすぐに笑顔を見せたり、声を発したりします。ただしこの頃はまだお母さんが突然いなくなっても、抵抗を見せたりはしません。
そして約6~8か月ごろから2歳ころになると、子どもといつも世話をしてくれる大人への愛着は明らかなものとなります。例えばお母さんが目の前からいなくなってしまうと、不安や苛立ちを見せたり、泣きだしてしまいます。これを 分離不安 (Separation anxiety)といいます。 また知らない人には警戒するようになります。そのため、1歳前に保育園に預け始めるのは子どもの心理状態からすると分離不安がないため負担が少ないといえます。

乳児を保育園に預けることについて

U.S National Institute of Child Health and Development(NICHD)は1歳未満の子どもが保育園を利用することで愛着形成が不安定になったり成長に影響がでることはなく、むしろ家庭と保育園の両方の環境が心身健やかに育つためには関係しているといいます。例えば、家でお母さんがずっと子どもの面倒をみていたとします。ただ、本当は仕事に行きたいが、子どものためと思い一人でずっと子育てをすることでストレスをためてしまってはそちらの方が子どもに悪い影響がでます。

また逆に、子どもがフルタイムで保育園に通っていたとしても保育士の私たちが質の良い保育をすると、愛着形成を含め子どもの成長を促進できることがわかっています。NICHDは3歳になるまでに高い質の保育を受けた子どもはソーシャルスキルが高いというデータも示しています。もちろんこれは子どもによって差はあるため保育園に行くことが子どものストレスになる場合もありますが、それは保育園に通わずに家庭で育児をする場合も同じことが言えると思います。

 

“質の高い保育”のために保育士ができること

Guiding and Caring はじめその他のEarly Childhood Educationコースのカリキュラムを参考にし、その一部を記載します。

  • 子どもの成長過程を知り、年齢や個々の子どもの能力に合わせたケアをする。
  • 子どもたちが安心して自分の意志や感情が出せるように、子どもの言うことに関心を示す。
  • 言語能力が完璧でない子どもに寄り添い、感情を代わりに言葉におきかえてあげる。
  • 子どもの興味に沿ったアクティビティを用意する。
  • 子どもの様子を観察・記録し、他の先生にもシェアしアイデアを共有する。

 
上記は子どもにフォーカスしていますが、保育士も一人の人間です。そのため、私たち保育士が働きやすい環境をつくっていくことも大切です。先生通し助け合ったり、子どもたちとの貴重な会話をシェアしたり、保育することを楽しめるといいなと思います。

感想

今回は共働きの家庭のお母さんを焦点にして記事を書きましたが、実際にはいろいろな家族のスタイルがあると思います。カナダでは子どもがいても結婚しない選択をする人も少なくないため、シングルマザーやシングルファザーの家庭、お母さん二人やお父さん二人の家庭やお爺ちゃんお祖母ちゃんが子どもを育てている家庭など家族のスタイルはいろいろです。可愛い子どもと本当は一緒にいたいけど、働く選択をする人もいると思います。私は日本で働きながら子育てをする方にも罪悪感なく保育園を利用してほしいなと思っています。日本でもカナダでも保育園は他の業種に比べれば財政が豊かとはいえませんが、経験豊富な保育士さんのアイデアはやっぱり素晴らしいです。施設や遊び道具が限られていても、子どもたちの学びを深めたり考える力を生み出します。私も子どもはもともと好きですが、保育の勉強をするようになり子どもがよりよく成長できるように私は何ができるかなと考えるようになりました。現場で子どもたちやその家族、他の先生ともタッグを組み“質の高い保育”ができる保育士になれるよう私も頑張りたいと思います。

他にもEarly Childhood Education basic コースでは様々なことを学ぶことができます。現役学生としてどんなことを学んでいるのかこれからも発信していきたいと思います。

この記事を書いた人
大学在学中に約1年間カナダのトロントでワーキングホリデー後、海外に関わる仕事がしたいと思い、大学卒業後は旅行会社で6年間働きました。その時に、大学や小学校などで海外を旅することの魅力や自身のキャリアについてお話する機会があり、教育にさらに興味を持ち始めた事からカナダで保育について学ぶ為、渡航を決意。カナダで経験ゼロから保育士を目指した自分の経験をもとに皆さんに役立つ情報をお届けできる様頑張ります♪
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