今日はカナダのカレッジで学んだ“人間関係トラブルの解決方”のお話です。
Early Childhood Education basicコースの科目のInterpersonal skillにあたります。
新年度が始まって、学校や会社など新しい環境で生活をスタートする人も多いのではないでしょうか。私は新しい環境になじむのに結構時間がかかるタイプなのですが、みなさんはどうですか?私は環境がかわる度に「あー、まわりの人とうまくやっていけるかな」、と結構不安になります(笑)。
カナダの保育カレッジで、面白いなと思ったことの一つに“コミュニケーション”を学ぶ必修科目があることです。どうして私たちはコミュニケーションするのか、言語や非言語、傾聴とはなど、あらゆる視点から学びます。確かに保育園で働くというのは、子どもたちとはもちろん、同僚や上司、保護者の人たちと良好な人間関係を築いていかなければいけません。コミュニケーションについて学ぶことは大切ですよね。そして、関わる人が増える分、増えるのがトラブルだと思います。そんな人間関係間で起こる様々なトラブルをどんな風に解決していくとよいかを授業を元にこの記事では紹介したいと思います。
好んでトラブルを生み出す人はいないと思いますが、何かトラブルが起こってしまったらやっぱり上手に解決したいですよね。トラブルを解決をするとき、大切なのは、どちらか一方が我慢したり、もしくは両者が我慢するのではなく、お互いにとって気持ちよいWin-Winな結論に至ることです。そのためには、お互いの協力が必要です。ここでは、どのようなステップを踏み、話し合いに持ち込み、お互いに落ち着いてトラブル解決へ迎えるかについて、同僚の保育士とのトラブル例を参考に紹介したいと思います。
例えば、職場でいつもプライベートなことばかり話しかけてくる同僚の保育士がいたとします。保育園では適切ではない言葉も会話では使っていて、子どもたちの前でもその話を続けてきて、あなたは困っているとします。
まず第一のステップは、話を切り出すあなたが相手の行動の何が問題と思っているのかを認識することです。そして、自分のニーズを知ることです。ここでいうニーズとは、すでに明らかななニーズと、隠されている本当のニーズも指します。”プライベートな話を仕事中しないでほしい”というのが明確なニーズですが、よく考えてみると、”同僚は喋っている間、作業が進まず、その分の仕事を自分がしなくてはいけなくなり、利用されている感じがして嫌だ”という隠れたニーズがあることも分かりました。あなたは、子どもの前で仕事に関係ない話をしないでほしい&任された仕事を時間内に終わらせてほしいとも思っているということになります。
人間関係において大きな衝突は、 準備できていない相手に突発的に問題を持ち掛けるときによく発生します。相手が準備のできていないときに話しかけても、ただ苛立たせてしまったり、傷つけるだけに終わり問題解決に進めないでしょう。ここでのテーマは討論に勝つことではなく、相手とトラブルを解決することなので、「最近悩んでいることがあって、話をしたいのだけど仕事後、少し話せるかな?」と日時を決めましょう。特に仕事中は子どもたちに目を向けることが第一優先のためなかなか話し合う時間は取れないと思います。お互いが時間に余裕があるときに話せることで、真剣な話し合いをすることができます。
話し合える日程が決まったら、あなたは何が不満で相手にどうしてほしいと思っているかを伝えましょう。伝えるときのポイントはまず自分を主語にすることです。そして、以下のことを伝えるよう意識しましょう。
4つことを意識するとこのように伝えることができます。「あなたがいつも職場でボーイフレンドやプライベートなことについてばかり話してくることが(相手の行動)、問題だと思っているの(どう感じたか)。この前子どもたちが会話を聞いていて”先生、ナイトクラブってなに?”って聞いてきたの。それに、あなたが話している間、作業が進んでいないから私がその分の仕事をしなくてはいけないの。(結果)
何度言っても全然私の言ったことに注意を払ってくれていないような気がして(解釈)、私はあなたにプライベートな会話は職場ではわきまえてほしいと思っているの。」
つまり、この伝え方は相手の行動によって「自分」の状態を説明しているだけとなります。「あなた」を主語にすると相手を勝手に判断していることになります。伝え終わったら、「上手く伝えられたか分からないけれど、どう受け取ったかな?」と、相手があなたの言っていることを正しく理解しているか、確認もしましょう。
自分の言いたいことを伝えたら、次は相手がどう感じ、どうしたいかを聞きましょう。あなたのニーズを伝えるだけでは、相手が不満となり、問題解決をすることができません。また、あなたは、自分の意見を伝えた時点では、相手が一方的に悪いと思っているかもしれません。でももしかしたら、ここでの例でも相手はプライベートなことを自己開示することで、あなたと仲良くなろうとしていて、相手も「この人は、自分のこと何も話してくれなくて、何考えているか分からない」と思っているかもしれません。相手を勝手に判断するのではなく、相手の意見にも耳を傾けましょう。
お互いのニーズを理解したら、次はどのように実行できるかお互いにアイデアを出し合いましょう。不可能なことではなく、現実的に可能なことを解決策としてあげていきましょう。そしてお互いにとって有益な解決策を選びましょう。相手も仕事中プライベートなことを話すのはよくないと納得し、二人とも同じクラスのスタッフがより親密になり信頼関係を築くことは大切だと思っていたいとします。その結果、仕事中話すかわりに、週に1度、仕事後にティータイムの時間をとり、お互いのことも話せる時間をつくってみることにしました。
実際に解決策を実施してみて、それがうまくまわっているか経過をみましょう。アイデアを出し合った時点では問題ないように見えても実行してみると現実的でなかったり、少し改善が必要になるかもしれません。5で決めた解決策のティータイムも週に1度はなかなか予定が合わず難しかったため、2週間に1回となるかもしれないですし、もう少し頻度を増やそうとなるかもしれません。もし、改善が必要な場合は上記の流れをもとに再度、意見を話し合います。
いかがでしたでしょうか?これは、あくまで問題解決の一つの方法ですが、私が個人的に参考になったのは、相手に意見を伝えるとき、自分を主語で話し自分がどう感じたのかを伝えること、そして相手のことを勝手に判断せずに相手の視点にたって考えようというところです。
この授業では実際にグループに分かれてロールプレイを実演しました。先生役、園長、保護者など役の設定があり、そこで発生する様々な問題をどのように解決するか、自分たちでシナリオを考えます。「保護者に言いにくいことを伝える」「同僚がいつも仕事に遅刻してくる」「園長が子どもたちに厳しすぎる」「同僚がお気に入りの子どもを特別に可愛いがる」など実際に起こりうるテーマが設定されます。
私たちは常に自分たちの視点から物事を判断します。でもいろいろなファミリーの形があったり、子どもたちとどんな関わり方を理想とするか先生たちの考えも様々です。授業中はシナリオですが、実際にトラブルが起こったとき、咄嗟にどんな言葉を相手に使うか気を付け、相手の立場で考えるにはまだまだ訓練が必要だなと感じました。
他にもEarly Childhood Education basic コースでは様々なことを学ぶことができます。現役学生としてどんなことを学んでいるのかこれからも発信していきたいと思います。