皆さんこんにちは、夏快適なバンクーバーから日本に一時帰国し、暑さにへこたれているmayです。笑
真夏に外を歩いても汗をほとんどかかないバンクーバーで暮らしていると、外出も全く億劫ではありません。日本は駅まで少し歩くともう汗だくという感じですが、バンクーバーはそんなことないのでバスや電車での移動もへっちゃら!
そんな中、バスに乗っていた時にこんな出来事があったので紹介させてもらいたいと思います。
ある日のこと。
保育園児くらいの子供三人とベビーシッターさん(こちらではベビーシッターのことをナニーと呼びます)のような女性が一人、同じバスに乗ってきました。その後すぐに鉄製の松葉杖をついた大学生くらいの女の子が乗ってきました。子どもたちのうちの一人がナニーさんに聞きました。
「あのお姉さんはどこにいくの?」
ナニーさんは
「そうねえ、家に帰るのかな、それとも仕事かもね。どう思う?」
子供「山に行くのかと思った」
ナニー「彼女の杖は山に行く用の杖じゃないのよ。歩くのが難しい人が使うの 、歩くのを手助けする杖。私のお父さんも杖を使っていたんだよ。今は車イスになっちゃったけど。」
子供「僕のおじいちゃんは車イスじゃないよ!」
ナニー「そうねえ、違うわねえ!」
という会話をしながらナニーさんは女子大生に「今の説明でよかったかしら?失礼なこと言ってない?ベストを尽くしたつもりだけど」と一言声をかけていました。
その会話が終わるか終わらないかのうちに今度は鈴を杖につけた初老の盲目の女性がバスに乗ってきました。
「なんであのおばちゃんは暗いメガネをしてるの?」
と今度は三人のうちの別の子どもがナニーさんに聞きました。
そうするとその盲目の女性が答えました。
「私はね、目が見えないの。光しか目に感じなくて他は見えないから見えるようにしている必要がないんだよ。」
子供「へー。でも僕はあのメガネしたくない」
ナニーさんが付け加えました。
「あなたはメガネしなくてもいいのよ。そして見て、あのおばさんの杖。あのお姉さんの杖は歩くのを助けるためのものだけど、あのおばさんの杖は見るためにあるの。」
「そして私の杖にはこれがついているんだよ」と杖についていた鈴をしゃらんとならすおばあさん。
ナニー「見た?今の!かっこよくない??」
子供たち「…かっこいい!」
そして子供たちのうちの一人が音の鳴る棒が欲しいと言い出したので、ナニーさんは子供たちに、家に帰ったら作ろうねと言ってバスを降りて行きました。
車イスの人はよくバスで見かけるものの、二人連続で〝杖〝を使う方が乗ってきたのも偶然ですが、このナニーさんの素敵な気遣いに、保育士を目指すものとして心打たれるものがありました。
ナニーは保育士同様、カナダでは需要の高い職種ですが、保育士免許は必要ない上、移民申請(ケアギバー制度という名前のものです)にもつながりやすいです。
でももし自分が保育の勉強を一切せずにナニーをしてたとして、子供たちにああいう質問をされたら、何て答えれるだろう、と考えていました。
日本なら…
「あんま大きい声でそういうこと言わないのっ」というお母さんが多いのかな…。
身体の不自由なことを特別な”障がい”ではなく個性と捉え、子供たちに適切に教えていくことは大事なことだなあと思いました。