皆さんこんにちは、カナダで保育士をしているmayです。
近頃、大阪で女子高生が「生まれつき髪が茶色いのに黒染めを強要された」
ということで府を訴えたニュースが話題になっていますね。
日本でも一般の方の間では「ひどい」「私もそうだったので共感する」
というような声が多いようですが、
カナダで教育者として働く私も少し意見を述べたいなと思います。
ちょうどこのあいだ、私の働く保育園に通っている子どもの髪の色が
いつもは金髪なところに、紫の差し色がしてあるのに気づきました。
私が「髪の色が今日は違うね!」と声をかけると、
「お母さんがしてくれたの!」と大変嬉しそうにその子は答えました。
もちろん私も「それはよかったね!」と返したのですが、
今思えば、これが日本だったらネガティブな意見を抱く人が
いるんだろうなと少し悲しくなりました。
そもそもカナダ、特にバンクーバーは移民が多く、
金髪の白人の子もいれば黒髪にパーマがかかった黒人の人も、
黒髪のアジア人も、中東系の人も東南アジア人もいます。
さらにハーフの子どもたちもいるので、もちろん髪の色はばらばら。
英語以外の言葉をしゃべる子どももたくさんいます。
そんなカナダの保育における方針は
「一人一人の個性を大切に、子どもだからと見下すことなく、
一人の人間として、大人同様に人権を尊重して接しましょう」。
そうやって育ったカナダの人々は外見で判断することは少ないし
型にはまらないといけないという状況も少ないです。
例えば大学教授や保育士でもタトゥーをがんがんに入れている人もいます。
髪をブリーチで抜き青や紫を入れてユニコーンカラーにしている会社員もいます。
多くの人はスーツでの出勤ではなく、私服での出勤です。
化粧をせずすっぴんで出歩く人も少なくありません。
内面の自分で判断されており、周りと一緒じゃなければ変ということはありません。
良い意味でカナダは本当に人の目を気にしないでいい国です。
また、カナダの保育園では”強要”をすることはありません。
例えばトイレへ行ってオムツを変えなければいけないとき。
子どもが嫌がったとしたら無理やりトイレに連れていくのではなく
「じゃあ2分待つから、2分後に一緒に行こうね」と
心の準備をする時間を許したり、もしその子が車のおもちゃで遊んでいるのなら
「じゃあその車連れて一緒にトイレに行く?」
とおもちゃを持ったままトイレへ行くことを促したり。
(トイレの入り口前におもちゃは置いて中に入りますが)
その他にも「私といく?それともあの先生といく?」
とチョイスを与えたりなどとにかく強要はしないように、
子供の意思を尊重し、自分から行くように仕向けます。
型にはまらなくていいからこそ、
型にはまりたくないということも起きづらいし、
強要されないから、歯向かうことも少ないのかもしれません。
このような風潮から、日本のように「髪を染めるのは不良の始まり」
という考え方は一般的でないのだと思います。
また、個性を大切にされ、人権を尊重されてきた子どもたちは、
「一人の人間として責任ある行動」ができるようになります。
カナダの高校生や大学生は、自立心のある人が多く、
周りに流されることなく自分の意見を言える人が多いです。
偏見かもしれませんが日本では就職のために大学に行き、
親に授業料を出してもらい、遊んで暮らして卒業する人も少なくないと思います。
カナダでは「みんなが大学に行くから入った」というより、
「これが学びたいから大学に入った」という人が圧倒的に多いです。
「経済を学んでいたけどやはり教育が学びたくなって専攻を変えた」
という人もいれば、30代や40代の人でも「違う仕事をしていたけど
映画が学びたくなって大学に入った」という人などもいます。
授業料も自分でバイトして出している人がほとんどでした。
大人に指示されて行動するのではなく、自分で考えて行動できるようになるのは
幼少期からそのように教育を受けてきたからだと思います。
髪の色だけの観点から見ると、外国人は髪の色がみんな違って当たり前だと
言う人もいるかもしれませんが、もはや時代は国際化社会。
国境を超えて生活する人は昔に比べて増えているので、
いつまでも保守的な態度を取っていては、
めまぐるしく変化し成長を遂げる時代についていくことができないでしょう。
事の発端は髪の色の話題ですが、その背景をよく分析し、
何が子どもたちにとって、そして将来の日本にとって良いのかが
日本の教育者たちの間で議論されるきっかけになればなと思います。