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【保育留学生】視覚障害がありながらカナダで保育を学んでいた留学生へインタビュー![前半]

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最終更新日:

皆さんこんにちは、カナダで保育を勉強していたmayです。

私はキャピラノ大学という学校で保育を学んでいたのですが、同じ学校に、日本からの留学生で視覚障がいのある生徒さんがいたので、彼女の立場から見たカナダの保育のこと、また保育以外にもより幅広い観点からカナダの教育についてお伺いしたくインタビューさせていただきました!

紹介

インタビューさせていただいたのはキャピラノ大学で*EAP/ECCE PATHWAYコースから始めて、そのまま保育学部の本科に進まれて学ばれたTomoyoさんです。
*留学生を対象にした、語学+保育を同時に学ぶ特別コース。終了後は良い成績が取れればそのまま通常の保育学部へ入学になる

インタビュー開始

may:今日はよろしくお願いいたします。私カナダに来るまで全盲の友達がいたことがなかったので、ちょっと色々と突っ込んだことなどを聞かせていただくかもしれませんがよろしくお願いします。

Tomoyoさん:いえいえ、なかなかない機会だと思うので色々お話できたらと思います。


may:さっそくですがまずは、なぜカナダに留学しようと思ったかを教えていただけますか?

Tomoyoさん:はい、まずは第一として英語が好きだったので、語学留学をしたかったのがきっかけです。その上でカナダを選んだのは、昔から特別支援教育に興味があったから。カナダって盲学校が1校しかないらしいんです。それを聞いて非常に興味がわいて。逆になぜ1校だけなんだったら無くさないのかな、とも思ったのですが、Inclusive education(どのような子供もみんな一緒になって教育をうけること。詳しくは過去記事でも取り上げています)が進んでいるのかな、と思ってカナダの教育に興味を持ちました。なので最初は保育を学びたいというよりは語学を習得しつつ、教育、なかでも特別支援教育が学びたかったんです。


may:そうだったんですね、ではなぜ保育を勉強されることになったんですか?

Tomoyoさん:特別支援教育を深く考えると早期の教育が大事になるのかなと思って。例えば保育園からそういったinclusive educationがなされていると、子どもたちもそういう意識を早くから身につけるのかなと。

may:確かにカナダの保育の現場でも、inclusive educationは大事とされていますもんね。

Tomoyoさん:そうなんです。まああと本当はEducation assistantというのになりたかったんですが、そのEducation assistantになるためのプログラムに入るための語学力が足りなかったというのも実は理由の一つです(笑)。IELTSが足りなくて。オンラインの入学テストも受けたんですけど、音声読み上げに対応してなかったこともあり結果が思わしくなくて。結局Education assistantのプログラムに入ることができませんでした。2015年の3月にバンクーバーに来て、当初留学エージェントでチューターから英語を学んでいたんですが、そのチューターの方がECEとTESOLのメジャーを取った人だったんです。で、どの学校に行こうか迷っていたときにその人からもしECE(保育)を学ぶならCapilanoがいいよ、Special needs(特別支援教育)の授業もあるし、と言われたのもあってキャピラノ大学に見学に行ってみました。学校に行って色々話してたら、EAP/ECCE PATHWAYだったら入学できるとのことだったので、じゃあ行きます、といって入学を決めました。

may:そうだったんですね、私も最初は英語の点数が足りなくてEAP/ECCE PATHWAYからのスタートでした。普通のDiplomaのコースより卒業に時間がかかってしまいますが、エッセイやペーパーの書き方など学べたところはよかったなと思います。

Tomoyoさん:そうですね。私の場合、そもそも2年間学校に行く学費はなかったので、卒業するということが目標ではなかったんです。なので、プランとしては2016年の12月までの1年ちょっと学校に行って、それで日本に帰るということにしていました。

may:そうなんですね、ちょっと残念ですが、学費高いですもんね・・・。EAP/ECCE PATHWAYコースだと卒業までに全部で500万円くらいかかりますもんね。

Tomoyoさん:そうなんです、でもとりあえず学びたいことだけでも学べたらいいかなと思っているのと、その学んだことを持ち帰って日本の特別支援教育に役立てられたらなと思ってるので、十分意義のあることだったと思います。


may:ちなみにどんな授業を取られたんですか?

Tomoyoさん:カリキュラムの実践、保育の規則、子供の発育について、クラスルームのセッティングを学ぶ授業、あとinclusive educationの授業などもとりました。

may:失礼かもしれませんが、私自身キャピラノで保育を勉強している上で、「目が見えなかったらこれしんどいんじゃあ」という授業もいくつかあったんですが、どういう風に授業を受けていたかを教えてください。例えば、カリキュラムの実践の授業の中で、石に絵を描くとか、フェルトストーリーを作るということがあったと思うんですが、どのようにしてたんですか?

Tomoyoさん:石に絵を描くのは、やはりちょっと難易度が高かったので、紙に絵を描いて貼ろうということになりました。フェルトストーリーは、「これって何色?」とクラスメイトに聞いたりして作りました(笑)。砂や紙、光など自然素材を使ったクラスルームのセッティングの授業は視覚情報が多すぎて半分お手上げ(笑)。光とか色って、知識としては入ってくるんですが、やはりちゃんと理解して実践するという意味では結構苦労しましたね。

may:そうですよね、私は目で見ててもコンセプトをつかむというか・・、深く理解するの大変だったので、見えなかったら混乱してたと思います。次に、カナダで保育を勉強されて、”カナダの保育”がどういうものだと感じたかなどお聞かせ願えればと思います。

Tomoyoさん:はい、まずinclusionという考え方の幅が広いなと感じました。日本だと障がいのあるなしという考え方で、教育も一緒か別か、0か100かという2択なんですが、カナダは0でも100でもなくて、障がい以外にも国籍とか、そういったことが全てinclusionとして考えられている。そういったことは日本にいるときは思いつかなかったなあと感じました。あと、カナダの保育は「人を育ててくれる」なと思いました。ルールを教えて、それを守りなさいというような教育法でないので、自分で考える力をつけることができる。周りに流されない子供ができるなと思いました。じゃあそれを日本で例えば行ったとして、どこまで通用するかとかはわからないと思うんですが、でも全体的にカナダの保育はいいなと思いました。


may:カナダで保育士をしようということは考えたことありますか?

Tomoyoさん:うーん、できないとは思わないんですが、やはりかなり大変だなと思うので。他の人以上に工夫とやる気が必要だと思うんです。子供をinclusive educationするのは一般的ですが、先生側が完全にinclusiveになるのはまだまだ色々と必要なことがありますよね。どこまで多様化できるかですが、でも例えば絵を描いている子供に、「見て!」って言われても、見えないので、具体的なフィードバックとかコメントとかができないんですよね。本を読むとかであれば点字を本に貼ってみたりとか、そういうことはできると思うんですけど。

may:それはなんとなくわかりますね。例えば大学で授業を受けてても、留学生とローカルの生徒で少し壁があったりとか、そういうときに、「子供にはinclusiveっていうけど、保育士になるであろう我々大学生はinclusiveじゃないな」って感じること、たくさんありましたからね。人種差別とかそういうことをなくしていく上でも、早期からのinclusive educationは重要だなと逆に思いますね。

Tomoyoさん:そうですね。


may:移民したいなどは?

Tomoyoさん:移民は全く考えなかったですね。カナダの特別支援教育を勉強して持ち帰り、日本で何かがしたいと思っていたので。


may:帰国後のプランやしたいことなどは具体的にありますか?

Tomoyoさん:具体的なプランはまだないのですが、帰ってみてから何ができるかを模索したいと思っています。ただ、将来的には特別な支援がいる子供とかその家族をサポートするといったような仕事につきたいなと考えています。どういった形でかはまだわかりませんが・・。3月に日本に帰るのですが、日本に帰ったらもちろん仕事を探すことにはなると思うんですが、私は日本で大学を卒業してしばらく時間が経ってしまったので、新卒枠では就職活動ができなくて。だから中途採用の枠で探すつもりです。9月くらいからは働きたいなと思っています。


may:なるほど。カナダにいる間の留学プランがどのようなものだったかも教えていただけますか?

Tomoyoさん:キャピラノで2015年9月から勉強を始めて、2016年4月にEAP/ECCE PATHWAYのコースを修了、そのあとECCEの本科にそのまま残って勉強を続けていたのですが、2016年12月で学校自体は終わりにして、今は旅行に行ったりバンクーバーでの生活を楽しんでいます。3月中に帰国予定です。(※インタビューは2017年2月に行いました)今度実はサンディエゴに行くんですよ!障がいがある人のについてのカンフェレンスがあって。1年に1度あるんですが、さすがに日本から行くとなるとちょっと遠かったりしますが、バンクーバーにいる今年は、行ってみることができるんじゃないかなと思って!


may:そうなんですね!サンディエゴだと同じ西海岸ですしね。ちょっと話はそれてしまうのですが・・、行ったことのあるところはお一人でも行けるとして、例えば新しい土地に行くときって、地理とか、細かいことをいうと駅構内のつくりとかどこでどのように切符買うかとかを知らないわけじゃないですか?失礼ですが、そういう新しい土地へ行くときってどうするんですか?

Tomoyoさん:日本だったらまだしも、確かに海外とかだと勝手も違うし戸惑うことはありますね。でも今回のサンディエゴは1週間の旅行なんですが、ホームステイを頼んじゃいました!(笑)

may:ホームステイ!(笑)なるほど、それは賢いかもしれない。ホストファミリーにきっと色々その土地のこと教えてもらえたりしますしね!

Tomoyoさん:そうなんです!そうすれば初めての土地でも迷わず宿泊先にたどり着くことができるし、その1週間の間にわからないことが出てきたとしても色々聞くことができるし、いいかなと思って。

may:なんかホームステイって、留学をするときの選択肢だとばかり思っていましたが、旅行でも使えるとは新しい発見です。(笑)

Tomoyoさん:ですよね(笑)。でも楽しみです!

いかがでしたでしょうか?前半はカナダの保育留学に焦点をあててインタビューさせていただきましたが、後半は保育以外のことで、ご自身が目が見えないという状況で日本とカナダでどのように暮らしをしていたか、また日本とカナダの特別支援教育を、生徒という立場から色々お話を伺いましたのでそれを記事にしたいと思います!乞うご期待♬

他にもインタビュー記事ありますよ!参考にしてみて下さい。

この記事を書いた人
カナダ・バンクーバー近郊にある公立大学Capilano Universityで保育を勉強。日本では広告業界で働いていたので保育関連の知識や経験はゼロでしたが、卒業後無事フルタイムの保育士として現地の保育園に就職しました。移住を目標にカナダへ来たので、次の目標は永住権取得。ビザや永住権に関するトピックにも触れながらカナダの保育についての生の情報をお届けします!
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