これは、カナダで働く保育士のスケジュールを初めて見た日本の保育士さんが
ほぼ全員口にするセリフです。
しかも──園が休んでいる間も保護者は普通に保育料を払います。
まさに“驚きまみれのカナダ保育”。
日本との違いを知ると、働き方の常識がひっくり返ります。
今回は、実際の現場の声をもとに、日本人保育士が驚く5つのポイントをご紹介します。
カナダでは多くのデイケアが年間3〜4週間の休園を設けています。
夏2週間、クリスマス2週間、春に1週間というスケジュールも珍しくありません。
“We close for 3–4 weeks a year. Parents know it from day one.”
「年間3〜4週間は休み。保護者にも最初から伝えてあるよ。」
日本では「1週間休んだだけでクレーム」という園もある中、
カナダでは「休む=リフレッシュ=質の維持」という文化が定着しています。
現地の保育士やオーナーが話す、平均的な休園期間は以下の通りです。
| シーズン | 平均的な休園期間 | 備考 |
|---|---|---|
| 夏休み | 1〜2週間 | 7〜8月に集中 |
| 春休み | 0〜1週間 | 地域差あり |
| クリスマス | 約2週間 | 学校カレンダーと連動 |
| 年間合計 | 約3〜4週間(20営業日) | 有給扱いが一般的 |
長期休暇を取る園も多く、
「休むこと=職員のリフレッシュ」として文化的に受け入れられています。
補足:祝日は別です!
カナダの「年間3〜4週間の休園」は、Statutory Holidays(祝祭日)とは別に設けられています。
BC州の場合、New Year’s Day、Family Day、Thanksgivingなど年間10日前後の祝日があります。
つまり:
合計すると、年間30日以上の休みがあるのが一般的。
それでも保護者は普通に保育料を支払い、
「先生たちも人間だから休みが必要だよね」と受け止めます。
ここにも、“人を大切にするカナダの保育文化”が表れています。
日本では「親が困る=園のせい」という空気がありますが、
カナダでは保護者と園は対等な関係です。
“We’re not robots. We deserve time off.”
「私たちはロボットじゃない。休む権利がある。」
保護者もその前提で園を選ぶため、
「閉まって困る」という不満はほとんど起きません。
信頼関係は、“無理をしない誠実さ”の上に築かれています。
最も印象的なのがこの発想。
カナダでは「先生が休むこと=子どものため」と本気で考えられています。
“Breaks are essential to maintain quality care.”
「質の高い保育を続けるために、休みは不可欠。」
疲労をためて働き続けるよりも、
しっかり休んで笑顔で戻ることが、子どもに安心を与える。
この「保育者のメンタルケアを前提とする文化」は、日本人保育士にはまさにカルチャーショックです。
「休む=サボる」ではなく、「休む=責任を果たす」。
そう、何度でも言いますが──
園が休んでいる間も、保護者は普通に保育料を払います。
“You’re paying for the spot, not just the hours.”
「払っているのは“時間”じゃなく、“席そのもの”。」
保育料は「サービスの対価」ではなく、
子どもの席(spot)と教育の質を維持するための費用。
つまり、先生が休むのも「その価値の一部」として受け入れられています。
日本では「頑張る=良い先生」。
カナダでは「きっちり休んで万全=良い先生」。
どちらが正しいという話ではなく、「どうすれば長く笑顔で働けるか」がカナダの基準です。
カナダの保育は「人を守る仕組み」が前提にあります。
休むことを恐れず、自分の健康と心を大切にすることで、結果的に子どもたちにもより良い保育を提供できるという考え方です。この記事が、保育士一人ひとりが「自分が笑顔で働くために何ができるか」を考えるきっかけになれば嬉しいです。