視覚障がいがありながらカナダで保育を学んでいた留学生へインタビュー![後半]

may

この記事を書いた人 may
2017.06.19

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皆さんこんにちは、カナダで保育を勉強していたmayです。
前回は、キャピラノ大学で保育を学んでいた視覚障がいのある日本人留学生、
Tomoyoさんに、彼女の立場から見たカナダの保育のこと、
また保育以外にもより幅広い観点からカナダの教育について
お伺いしましたが、今回は保育以外のことにも話を広げ、
視覚障がいがありながら海外へ留学するということについてなどを中心にお話を聞かせていただきました!

 
may:さて前回に引き続き、インタビューをさせていただきたいのですが、今度は保育以外のことで、ご自身が目が見えないという状況で日本とカナダでどのように暮らしをしていたか、また日本とカナダの特別支援教育を、生徒という立場から詳しくお伺いできたらと思っています。お恥ずかしながら日本での特別支援教育のことをほとんど知らなくて・・・。そもそも日本ではinclusive educationというものは存在するのでしょうか?
 
Tomoyoさん:日本では、現在はinclusive educationが選べるようですが、昔は選べませんでした。なので障がいのある子供は必然的に隔離されて教育を受けるというかたちでしたね。どうしてもという希望を出せば一般的な学校で一緒に学べたようなんですが、サポートは無しなどという状況でした。2007年度から「特殊学校」から「特別支援学校」という名前に学校の名称が変わったんですが、その頃から少しづつ状況が変わってきたように思います。一般の子供と特別支援のいる子どもたちを分けて教育をするということから、特別支援のいる子供でも一般の学校で教育を受けられるように学校で訓練しよう、というような。また、障がいの程度によってはその地域の学校に入ることを推奨しましょうということも法的にはうたわれましたね。ただそのためのサポートがしっかりできているかというと、追いついていなかったりもするので、まだまだ発展途上ではあると思います。
 
may:そうだったんですね。私も自分が小学生のときなどはひまわり組というような特殊学級があったのですが、知的障がいのある子どもがそこに行っているということしか知りませんでした。普段交流もないし、学校内であまり見かけることもなかったので障がいとか特別支援について全く無知だったのかなと思います。例えば知的障がいがどんなものかとか、どうしてそうなったのかとか、どういったサポートが必要なのかとか、そういったことを考えるきっかけもなかったというか。その点、やはりカナダのように、早期より色々な障がいがある子どもも一緒に教育を受けられると、障がいに対する考え方も変わるし、障がいがどのようなものか、どのように助け合っていけたらいいかということを自然に考えれるようになるのでいいなと思います。
 
Tomoyoさん:そうですね。そのようなことが実際に学べて肌で感じることができたのは私にとっては大きかったですね。でも学んできて思ったのですが、日本の教育方法もいいところはあるなということを感じました。日本のやり方とカナダのやり方、どちらがいいとははっきり言えないんですけど。日本ではInclusive educationのことが学べないからカナダで学ぼうと思い、カナダに来ましたが、逆に限界みたいなものもあるなぁとも感じました。Inclusive educationにはいいところがたっくさんあるけど、それではカバーできないことというか。一長一短ですね。
 
may:なるほど、学んでみてわかることは確かにありますよね。ちなみにTomoyoさんは、学校は盲学校などに行かれたのでしょうか?
 
Tomoyoさん:そうです、幼稚園から中学校まで盲学校に行っていました。私は福岡出身なんですが、福岡にはなんと盲学校が4つあったんです!(笑)他の県は1〜2校というところがほとんどなんですけどね。他の県の人だと学校に入るために寮に入ったりとかすることもあるようですが、その点県に4つあると家から通いやすいですよね。でもその代わり1校あたりの人数は少なかったです。幼稚園は3学年一緒で一クラス2〜3人だったんですが、小学校と中学校は学年に私一人でした。なので先生と私1対1の家庭教師状態(笑)。体育とか音楽とかは3〜4学年一緒に授業を行ったりしていました。そういう学校にいると、勉強は伸びます!でも人付き合いとかそういったソーシャルスキルは伸びません!(笑)
 
may:クラスメイトいなかったら学校で同い年の友達作れないですもんね・・。それはちょっと悲しいかも。高校はどうされたんですか?
 
Tomoyoさん:高校は東京の視覚特別支援学校(盲学校)にいきました。地元の盲学校からは、はり、灸、マッサージの専門学校に行く人が多かったんです。でも私は大学にいきたかったので、大学へ行く人の多い
学校に行きたいなと思って。というかまずはクラスメイトが多いところに行きたかったのが前提としてあります(笑)。
 
may:そうですね、ずっと一人じゃ寂しいですもんね。
 
Tomoyoさん:はい。高校に行ったら1学年16人になって。法律で1クラス8人までにしなさいという風に定員があったので、2クラスになりましたね。1人から一気に16人になって、すごく増えました。(笑)
 
may:おお!それはよい経験になりますね。色々と同じ障がいを持つ人同士で情報交換もできるし、何しろまずは同学年に友達ができることが嬉しいですよね。大学はどのようなところに行かれたのでしょうか?
 
Tomoyoさん:日本の大学で、津田塾大学という私立の学校に行きました。学校はすごくよく私をサポートしてくれました。何でも視覚障害のあるという生徒が入学することが初めてだったのですが、音声パソコンとか点字プリンターだとか、全部揃えてくれました。あとは入学したての頃はボランティアの学生が一緒に学内を歩いてくれたりとか。本は買うとボランティアの人たちが点訳してくれたりしました。
 
may:なるほど。カナダの大学、キャピラノ大学のサポートはどうでしたか?
 
Tomoyoさん:まずは特別な支援のいる生徒のサポートをするオフィスがちゃんとあるため、システムとしてちゃんとしているなという印象を受けました。入学する前に相談に行ったときに、どういうサポートが必要かというリストを作ってくれて。カナダのローカルの生徒で目の見えない学生さんは過去にもいたみたいですね。留学生は私が初めてだったみたいですが。障がい別じゃなくて、その生徒個人にどんなサポートが必要かということを考えてくれるので、個人を尊重されているようですごくありがたいなと思いました。
 
may:それは素晴らしいですね。私も特別な支援のいる子供が保育園にいたら、そのような考え方をもって接したいです。
 
Tomoyoさん:あとはオリエンテーションや教室の場所確認などははじめのときにスタッフが一緒にしてくれました。保育学部の先生たちへも、「今度こういった生徒がきます、この生徒はこのようなサポートが必要です」というような認知も学校側がしてくれました。あと本に関しては、Langara college(ランガラ大学)のCaper-BC(Centre for Accesible Post-secondary Education Resources BC)という組織が本をスキャンしてデータ化してくれるということをしてくれていました。
 
may:そういった組織があるんですね。では次に、目が見えないという障がいがある中で、生活をしていく上で日本とカナダの違いなどあれば聞かせてください。
 
Tomoyoさん:カナダの人は臨機応変に、そして自然に助けてくれる人が多いなといった印象です。日本でも助けてくれる人はたくさんいて、ありがたいんですが「大丈夫です」って言っても信じてくれない。「いや大丈夫じゃないでしょ、お手伝いしますよ」みたいな(笑)。でもカナダでは、「大丈夫です」っていうと、「あっそうなのね、オッケー」といってくれる。
 
may:ちょっとおせっかいなんですね(笑)。
 
Tomoyoさん:あ、でも交通機関とか、ハード面は日本の方が進んでいますね。音声ガイドとか点字ブロックとか。点字がどこにでも書いてあるので、人の手を借りずに移動するという点では視覚障がい者は日本の方が楽です。でも車椅子の人はカナダの方が楽なんじゃないかなと思います。バスとか電車とか乗りやすいし。まあ点字とか音声ガイドがなくてもカナダの人は結構みんな助けてくれるのでなんとかなりますが。
 
may:カナダは車椅子だけでなくベビーカーにも優しいですよね。ベビーカーがバス乗ろうとするとみんなさっと優先席立って場所あけてあげますしね。交通以外はどうでしたか?
 
Tomoyoさん:私はずっとホームステイをしてたんですが、普通に受け入れてくれたことがまず嬉しかったなと思います。日本人ファミリーは「責任が取れないからだめ」と断られたりしたんですが、カナダ人家庭はあっさり「OK!」と。日本より自然に受け入れてくれるし、必要なときはサポートしてくれて、必要ないときは普通の人と同じように接してくれるので心地よいです。
 
may:まあ確かに未成年ならまだしも、成人を受け入れるにあたって「責任とれない」ってのは少し疑問ですね。障がいのある人がどのような扱いをされているかの現れのような気もします。カナダはどんな人でも一人の人として変わりなく扱ってくれる傾向にありますもんね。カナダで暮らしてよかったことや大変だったことなどはありますか?
 
Tomoyoさん:自分自身でいられることがよかったかな。できるフリをしなくてもいいことを知ることができました。できないならできないで素直にそう言えばいい、みたいな。大変だったことは、「2重のマイノリティってこういうことか!」ということを感じたことですかね。視覚障害があってさらに留学生というと、色々な面において大変なことがありました。例えば最初バンクーバーに来たとき図書館が使えなかったこととか。点字図書システムというのがあって、それに登録しようとしたらこの図書館では無理だとか、住所がないと登録できないとか・・。そういった細かいことで大変なことはたくさんありました。あとは一般的な留学生と同じように、英語力的な大変さは感じましたね。
 
may:なるほど、色々と貴重なお話ありがとうございました!カナダの保育だけではなく、日本の特別支援教育のことなど、幅広く別の観点からお話聞けたこととても興味深かったです。最後に、同じように障がいを持ってらっしゃる方などに、一言何かあればいただけますか?
 
Tomoyoさん:留学してみようというのは大きな決断がいることですが、来てみたらなんとかなるということがわかると思います!また、”受け入れてもらえる”という感覚が味わえるのが嬉しいですよ。
 
may:本日は本当にありがとうございました!
 
いかがでしたでしょうか。
視覚障がいがあるということに屈せず、何事にも前向きに明るく
チャレンジしているTomoyoさん。
人一倍の努力をされてきたのではないかなと思います。
 
将来的には日本もinclusive educationが進み、
障がい自体に対してより理解を持った人が増えるよう、
彼女が日本に持ち帰ったことが色々と生きるといいなと思っています。
 

この記事を書いた人

may

カナダ・バンクーバー近郊にある公立大学Capilano Universityで保育を勉強。日本では広告業界で働いていたので保育関連の知識や経験はゼロでしたが、卒業後無事フルタイムの保育士として現地の保育園に就職しました。移住を目標にカナダへ来たので、次の目標は永住権取得。ビザや永住権に関するトピックにも触れながらカナダの保育についての生の情報をお届けします!


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